お昼を食べたので午後からは金剛峯寺、壇上伽藍、霊宝館に行きます。
午前中奥之院でゆっくりしてしまったため、思ったより時間がなくすこし急ぎめで見て回ります。

奥之院から千手院橋の方に歩いているとお寺の敷地に植えられた空を仰ぐ紫陽花がとても綺麗でした。
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まずは金剛峯寺に向かいます。
檜皮葺の屋根が柔らかさと暖かさを加えていますが、最たるは厳かな圧倒感。
艶やかな塗装や豪華な装飾が施されているわけではないのですが、質素で力強い美しさが吐息混じりの歓声を生む。
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金剛峯寺で個人的に印象に残ったのが枯山水の庭園。去年この時期に行った京都の高台寺を思い出しました。
夏の光と影、踏みしめる廊下が僅かに軋む音、静けさに調和した蝉の鳴き声。
すーっと心が満たされてゆく
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金剛峯寺を出て壇上伽藍に向かいます。
この通路に凄く心惹かれました。
ここも京都で出会った風景と同じ匂いがする。小学生のとき家族で京都に行った、あの時のどこか懐かしい想いが蘇る。
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根本大塔
青い空に建物の朱色が映えて互いの鮮やかさが際立つ。昭和になってから再建されたものなので外観、内装ともに近代の匂いがします。
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中に入ると大日如来を中心として4つの仏像、16本の柱にそれぞれ菩薩の絵が描かれており立体的な曼荼羅になっているそうです。

大日如来を真正面に拝める場所にちょこんと座って目を見つめる。
何かが自分の中に入ってきて自分自身が開放されていく。この空間に溶けて空気となって一体化してしまいそうな心地良さ。
願い事や意思表示をする隙はない。何も言わずとも全て見透かされてしまう。その裏に潜む虚栄心や承認欲求に至るまで。

ああ、何もかもお見通しだ

偉大な力の前で自分の未熟さを思い知り人間特有の汚さを突きつけられる
戒める、なんて厳しい言葉を使う気はないけど自分の中にある筋を正すために定期的にこういう場所には訪れたいと思う。

金堂
本尊の薬師如来は残念ながら非公開。
どうやら3年くらい前に公開されていたそうで…
次公開されるタイミングがあれば是非とも訪れたいものです。
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霊宝館
数々の仏像や大きな曼荼羅の絵図が展示されています。個人的には不動明王は大日如来の化身である、というのが印象的でした。
人間でも必死な時には穏やかな表情ではいられない。
大日如来も聞く耳を持たない者に対しては厳しい表情で教えを説くという説明書きがありました。
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この後お授戒というものに参加しました。
日常生活で役立てたい十箇条の戒めを受けられるというものでしたが、実際どんなものかよく分からないまま参加しました。お坊さんのお話でも聴くのだろうというくらいの考えだったのですが、この授戒を端的に私らしく表現するならば「ガチだった」と言うのが適切な表現でしょう。

2重か3重の扉を閉めて真っ暗なお堂の中。儀式が終わるまでは何があっても外に出ることはできないという。
真っ暗で静かな空間に鈴の音だけが響く。

少しするとお坊さんが入ってきてお経を読み始める。途中からお坊さんに続いてお経をみんなで読む。最初の方は「南無大師遍照金剛」をずっと言っていたと思う。
浄土宗でいう「南無阿弥陀仏」的な文言なのですが、それすら知らなかったためなんのこっちゃさっぱり分からない。何より怖いのは自分以外のみんなが普通に言っていることだ。
とんでもないところに来てしまったと思った。

そのあとは菩薩十善戒をお坊さんに続いて言っていたと思う。その場その場で解説してくれるわけではないので、後から受け取った紙を見てこれのことか、と初めて合点がいく。

今日はよく高野山においでくださいました、という流れでお坊さんが話し始めました。正直ほっとしました。私にも分かる現代語の日本語だ。異教徒の密会にスパイとして潜入しているような気分だったのだ。

色々な話をして最後、高野山に行ったことを家族や友だちに話し、今度来る時はその人達と一緒に来てくださいと仰られました。
その流れからすっとお経に入る。途中からみんなでお経を読んだ。やはりここにいる人たちは真言宗についてそれなりに詳しい人ばかりだったようです。
場違いも相当なものだ。最後の最後に一つの宗教の内面を垣間見た気がした。


日が暮れる前に帰路に着きます。
ケーブルカーの中で今から帰るね、と連絡を入れました。頼まれてもないのにスマホで撮った写真も一緒に送り付ける。

こんな時につくづくと自分は中途半端で弱い人間だと思う。
雑踏の中で孤独を感じ、孤独の中で人の温かさを感じる。

人間らしくてそれもいいか
あと何十年も自分という人間に付き合って生きていくのだから非難するより愛してあげた方が人生何倍も楽しいだろう

それに自分という人間は一分一秒で変わるもの
数カ月も経てばあの時こんなことを考えていたなと愛おしく思う日が来るのだから今の自分が全てだと固執する必要もない

7月14日の自分を数日に渡って省みているのですが、あの時分からなかったことで繋がってくるものがやはりあるものです。

その時の自分を投影した旅をする
それを振り返って言葉に起こすことば旅

髪を乾かしながらいい言葉が降ってきたものだな、とつくづく思う

初回にしてはことば旅、なかなかいいものが書けたんじゃない?というただただ自己満足の記録です